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CSRとは、企業が様々なステークホルダー(利害関係者)との信頼関係を構築し、自らの事業活動を継続していく上で、果たしていかなければならない責任です。

ステークホルダーとしては、株主、従業員、取引先、消費者、地域、国際などがあげられます。
企業は事業活動を行うに当たって、その活動がステークホルダーから信頼を得るようなものでなければならず、逆にそうした責任を果たすことで、企業は社会の中において存在意義を認められ、存続していくことが許されることになります。
CSRとは、こうした観点から考えれば、企業経営のあり方そのものであるともいっよいでしょう。

現在、企業を見る社会の目は非常に厳しいものとなっています。
ひとたび不祥事が発覚すれば、投資家は株を売り浴びせ、消費者は離れ、取引先は逃げ、さらには優秀な従業員が去ることで、企業は一気に存亡の淵に立たされてしまいます。
企業が、すべてのステークホルダーから見放されてしまうというわけです。
その上、法令に違反していれば、企業には厳しい罰則が課せられることになります。

これは、近年、様々な形で現れた企業の不祥事の事例を思い浮かべれば明らかでしょう。
雪印乳業の集団食中毒事件、雪印食品や日本ハムの牛肉偽装事件、三菱自動車のリコール隠しなどがその典型です。
とりわけ雪印乳業は、集団食中毒事件で食品の安全を脅かし、雪印食品の牛肉偽装で違法行為を犯し、二度も社会的責任を果たさなかったということで、社会から厳しい指弾を受けたことは記憶に新しい。

このような重大な事件でなくとも、最近では、顧客データの流出などは日常茶飯事ですし、食品における産地や製造年月日の偽装、果ては温泉の偽装など、大なり小なり企業の不祥事をマスメディアで目にしない日はないともいっていいくらいです。

日本では不祥事の発覚によって消費者が離れた結果、企業が存続困難になっているケースが多いですが、海外では、消費者やNGOがより積極的に、社会的責任という観点から企業の責任を追及し、不買運動によって企業を追い込むケースも目立っています。

この事例としてよく引き合いに出されるのが、アメリカのスポーツ用品会社ナイキのスウェット・ショップの事例です。
スウェットショップとは、低賃金で劣悪な労働条件の工場、商店のことを指します。
97年頃からマスメディアで、ナイキの途上国の契約工場での児童労働や人権侵害の実態が報道されたことから、ナイキのボイコット運動が大々的に展開され、ナイキは大きな打撃を受けました。

また、イギリスのシェル石油は、96年に海洋油田基地の海洋投棄計画を発表しましたが、これに対し、海洋汚染を招くとして、環境保護団体などから激しい抗議運動が巻き起こりました。
また、同時期に、ナイジェリアで引き起こした人権侵害問題なども明るみに出たため、大規模なボイコット運動に発展していきました。
この結果、海洋投棄計画は中止されました。

一方、投資家の側から、企業の社会的な責任に対し圧力を強めている動きとして注目されるのは、SRIの活発化です。
SRIは、企業を社会的責任の観点から格付けし、条件を満たすのみ企業に投資を行うものです。

これは投資家が、企業を社会的責任の観点から、選別する動きを活発化させていることを意味します。
SRIは、国内ではまだその規模は小さいですが、近年、アメリカ、イギリスを中心に急速にその規模を拡大させています。
資本市場がグローバル化する中で、日本企業にとっては、海外のSRIから評価を受けることができるかどうかも重要な要素になりつつあります。

さらに、従業員の側からは、近年は、内部告発という形で、企業の不正を公にする動きが活発化しています。
企業と従業員が運命共同体な関係を保つ終身雇用が崩壊した現在では、企業と従業員の関係はドライなものとなり、従来は表ざたになりにくかった不正行為も、すぐに明るみにでる可能性が高まっています。