隣の家の塀の画像

隣の家が塀の設置をして日当たりのトラブルが起きた事例

私の家は2階建てなのですが、南側のAさんは、先日突然自分の敷地内に高さ3メートルものコンクリート塀を構築してしまいました。
どうやら私が家の中をのぞいていたと思っていたようです。
しかし、そのせいで私の家が真っ暗になってしまいました。
塀は自分のAさんの敷地内なのですが、このような塀の構築は許されるのでしょうか。

隣の家が塀の設置や建て替えをしたことによる被害者側ができる対応

自分の敷地内であれば何を建ててもよいということはありません。
建物でも、事例のような塀でも、隣人の権利を害するようなものを設置することは許されません。

日照・通風を享受することは私たちの権利です。
Aさんはその権利を害しています。
そこで、被害者側ができる対策としては、「損害賠償を請求する」「塀の撤去あるいは構造の変更を請求」することが考えられます。

ただし、少しでも日照・通風の利益を害されれば、ただちにこれらの権利行使が認められる、というわけではありません。
私たちは社会生活をするうえで、多少の迷惑をかけあっています。
そして、多少の迷惑は許しあうことによって社会生活は成り立ちます。
とはいえ、我慢にも限度があります。
この限度を超えたとき、法的救済が認められます。
この限度を「受忍限度」といい、裁判手続きで争う場合、この受忍限度を超えているかどうかの判断が結論を左右してきます。

今回のような事例でやっかいなのは、この受忍限度には客観的なハカリがないことです。
極端な言い方をすれば、裁判官の胸三寸、つまり、裁量で決まるということです。
すなわち、裁判官がその地域の状況、建物の使用状況、被害の程度、さらに加害者側の事情などあらゆる点を考慮して「この程度ならまだ我慢できるだろう」と考えるかどうかです。

いま、裁判官が考慮する事情の1つとして「加害者側の事情」といいましたが、これはたとえば相手方が塀を設置する必要性などのことです。

今回の事例でも、被害者側の苦痛は大きいようですが、それだけで塀の撤去が認められるわけではありません。
たとえ誤解があるにしても、Aさん側の「覗かれたくない」という気持ちは法的にも無視できませんから、必要もないのに嫌がらせをしている、とも断定できないでしょう。

このように考えてくると、損害賠償を請求したり、撤去の訴訟をするのは最後の手段としてとっておき、話し合いをし、窓に目隠しをつけるなど、Aさんの誤解を解くための措置をとることで誠意を示し、Aさんからの譲歩を勝ちとることが懸命かもしれません。

また、この事例と関連する事例として、あるAさんとBさんの土地の間に塀のような境界線がなく、プライバシーの問題から境界線上に塀を建てたいとAさんが思った場合、両家の問題であるため、AさんがBさんに塀の建設費用を半分請求した、という事例があります。

塀については民法225条1項では「2棟の建物がその所有者を異にしてその空間に空き地があるときには、その所有者は他の所有者に対し共同の費用で境界に塀を設けることができる」旨規定しています。
また、同条2項えは「当事者の協議が調わないときには、塀は板塀または竹垣にして高さ2メートルであることを要す」旨規定しています。

ただ、実際問題としては、両者の間で合意がなければ実現しないことですので、両者の間で、どのような塀にするか、費用はどれくらいか、工事の日程をどうするか、工事業者をどのように選定するか、など難しい問題も多く一方が思ったとおりにいかないことが多いと考えておきましょう。